空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
―――ひゅ~っ、ドドン!

―――ドドンドドンっ!

―――ひゅ~っ、ドン!


遂に花火が上がり始めた。

樹くんは一体どこまで行ってしまったんだろう。

気を使わなくてもいいのに。

でも、気を使わせたのは他でもない私だし、気を使ってもらっちゃったなら、私もきちんと向き合おう。

向き合わなければ、終わらせなければ前に進めない。

私が今、向き合わなければならないのは、

私の隣で初恋の相手を想いながら夜空に咲く大輪の花を見つめている、私が一目惚れして勝手に突進していった颯翔くんと、

色々な感情がごちゃごちゃ混ざってぐちゃぐちゃになった心だ。

私は今こうして颯翔くんと2人きりで花火を見ているという最初で最後の最高の状況を幸せに思い、その喜びと相反する悲しみと切なさを抱えながら私は口を開いた。


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