転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー
ヴァルテリの遺体は王家専用の霊安室に安置されることとなった。

早すぎる国王陛下の死に国中が涙を流し、喪に服した。

国王の死の場合、国中が喪に服す期間は1か月、王妃が喪に服す期間は1年と決められていた。

しかし、今は王位継承者を誰にするか早急に決める必要があったため、1か月後には議会を再開させなければならなかった。

アイリーンは黒いドレスに黒いリボンを身に着け、子ども用の黒いドレスと黒の軍服を手に持ち、サクラとハイメの元へ向かった。

「ふたりに話があるの。」

神妙な顔つきでアイリーンが話しかけたため、サクラとハイメはアイリーンの座っているソファーの近くに腰を下ろした。

「お父様が崩御、お亡くなりになりました。
これから1か月、オベリア王国は喪に服す、国王の死を嘆き悲しむ期間になります。

そして、あなたたちには1か月間、この黒い服を着て生活してもらいます。

1か月間近親者が黒い服を着用することで、お父様は安心して天に召されます…」

アイリーンは再び涙があふれてきた。

死ぬということはまだよく理解していないが、ヴァルテリが二度と自分たちの前に現れることがないと理解したサクラとハイメも泣き出してしまった。

この日、3人は肩を抱き寄せあいながら一晩中泣き明かした。
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