転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー
刺繍を始めてから10日後、アイリーンはついにスリジエの刺繍をだいぶできるようになっていた。

「だいぶできるようになりましたね。
後は実際に婚姻式の軍服に刺繍をするだけですね。

手は、大丈夫ですか?」

アイリーンの手はたびたび針で刺してしまい、手は傷だらけだった。

「大丈夫です。
この痛みも刺繍をする上での経験だったと思えば、痛くないです。」

アイリーンはそう言って自分の手を握りながら、頬を赤らめた。

「このまま、軍服に刺繍をしましょう。」

そう言ってカルロティーはメイドに式典用の軍服を持ってこさせ、刺繍用に準備をした。

「こちらを。
少し、今までよりも分厚いですが、やることは今までと変わりません。

今から始めれば今のアイリーン様の技量だとお昼ごろには終わると思いますが、無理はしないでくださいね。」

「はい、ありがとうございます。

頑張ってみます。」

「私は隣の部屋で刺繍をしています。
困ったことがあればいいに来てください。」

カルロティーは部屋を出ていき、中にはアイリーンだけになった。

アイリーンは一度背伸びをすると、軍服に刺繍をやり始めた。

カルロティーはひとつだけ刺繍をすればよいといっていたが、2つのスリジエをしたいとずっと思っていたため、ひとつの刺繍を小さめにした。

その代わりに、ひとつの色の糸で刺繍をするのではなく、真ん中は濃いめのピンクを、外に行くにつれて薄くなるように刺繍をした。
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