上司は優しい幼なじみ
「どうして山本さん?」

「私が山本さんみたいに、綺麗で、スタイルよくて、賢くて、仕事もテキパキできて…そんな女性だったら、たっくんは付き合ってくれた?たっくんが山本さんを追いかけて入社したみたいに、私のことも追いかけてくれた!?」

「どうしてそれを…」

こんなこと言いたかったわけじゃないのに。
100の関係を望んで、0になるのが怖かった。
そんな私にいつも通り接してくれていたのに、また自分からその関係性を壊そうとしてしまっている。

「ちょっ、陽菜!?」

ブラウスを脱ごうとする私の手を強く止める。
振り払おうとするが、びくともしなかった。

「離して!離してよ!!」

「落ち着けって陽菜!」

「落ち着けないよ!私、たっくんが好きなのに…告白して、フラれて。なのにキスされて…それでも付き合えないって…意味わかんない」

急に力が抜け、よろよろとその場に座り込む。
大粒の涙が頬を伝った。

「陽菜…聞いてくれ」

落ち着いたトーンで話始める。
その声色に少しずつ、落ち着きを取り戻していく。
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