上司は優しい幼なじみ
「岡田さーん、メーカーに挨拶行くから必要書類持って」

「はい!今行きます!」

最近は半田さんと仕事で共にすることが多くなった。
たっくんがこれまで担っていた企画の引継ぎから始まり、そのままプロジェクトのリーダー的ポジションで指揮する立場にある。

プライベートはと言うと、真由美ちゃんの長期戦の甲斐もあり、めでたく幸せにお付き合いしているそうで。



「いつものやつ持った?」

「はい!老舗の饅頭です!」

社用車に乗り込み、半田さんの問いに私は紙袋を見せた。
前にたっくんと行ったメーカーとは今でも良き関係だ。
引き継いだばかりの頃、最初に半田さんと挨拶に行ったとき、初めてとは思えないくらいすぐ打ち解けていて感服したのを覚えている。

「それにしても、あいつすげーよな。いつの間にか有名になってるし」

「…ですね」

たっくんの向こうでの功績が称えられ、’30代やり手ビジネスマン’としてビジネス誌何社かに取り上げられていた。
いつの間にか遠い存在になってしまった気がして少し寂しさもあるが、写真に写る彼の顔を見たら、寂しさよりも祝福の気持ちの方が大きくなる。

「しかもさ、あっち行く前プロポーズしたんだろ?全く…何やらしても完璧なんだからさ」

実は、料理はからっきしなんです…と心の中でつぶやく。

そうだ、向こうでの食事はどうしているのだろうか。
< 257 / 275 >

この作品をシェア

pagetop