上司は優しい幼なじみ
朝礼が終わるなり、久々に帰って来たたっくんの周りには人だかりができていた。
珍しく朝から電話が立て続けに鳴り、ほとんど皆席を立っているから、必然と座っているメンバーが取ることになる。

私もこれで既に3件目だ。

「ほーら、皆!!大川部長の質問コーナーは後で時間作るから。仕事仕事!!」

手を叩きながらフロアをぐるっと回り、席に戻るよう促す半田さん。
その言葉にやっとたっくんの周りから人が消えた。

ちょうど部長の確認が必要な書類があり、それを束の中から探し出す。
今までは代理で半田さんに見てもらっていたけれど、これからはたっくんが確認するんだ。

書類を持って彼の元に歩み寄る。

「あ、あの、大川ぶ…部長」

’部長’なんて言いなれない。
間違えて’係長’と呼んでしまうことも今後ありそうだ。

「どうした?」

「お戻り早々申し訳ないのですが、こちら部長の確認が必要な書類になりまして。急ぎではないので、お願いできますでしょうか」

両手で書類を差し出す。さっと目を通し、私と視線を交えた。

「わかった。午前中には見ておく」

「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」

頭を下げ、席に戻ろうと背中を向けた時、「岡田さん」と呼び止められる。
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