上司は優しい幼なじみ
「仕事、頑張ってるみたいだね」

’頑張ってるみたいだね’

誰か何か言ったのかな?

不思議に思いながらも「ありがとうございます」と再び頭を下げ、席に戻った。




お昼休憩時間の直前、たっくんが私の席にやって来た。

「岡田さん、これ。内容大丈夫だったからこのまま進めて」

「あ、ありがとうございます」

先ほど確認を頼んだ書類が戻って来た。
午後一でメーカーに連絡を取ろう。

…ん?

書類一枚目の右上に付箋が貼ってあった。
この既視感に、ドキッと胸が高鳴る。


’今日、一緒に帰ろう。駐車場待ち合わせ’

思わず目を付箋から彼に移した。
涼しい顔で仕事に戻っている。

やっと…ゆっくり話せるんだ。



何が何でも残業なんかしてやるか、と意気込み午後の業務をこなしていき、何とか定時ぴったりに上がることができた。
ちらっとたっくんの方を様子見るが、デスクを片付けていたので恐らく彼もすぐ帰れるのだろう。

「お先失礼します」と周りの人に声を掛け、駐車場まで歩いていく。

じっと彼を待っていると、見慣れた男女が近づいてきた。

「あ、陽菜ちゃん!お疲れ!」

「岡田さんじゃん。大川待ってるの?」

真由美ちゃんと半田さんだ。

「お疲れ真由美ちゃん。半田さんもお疲れ様です。そうなんです。一緒に帰ろうって言ってくれて」

「そっか…よかったな」

「…?は、はい」

半田さんは真由美ちゃんの手を取り、私の横を通り過ぎた。
多少の違和感を覚えつつ、彼の登場を待ちわびた。
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