上司は優しい幼なじみ
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「岡田さん、メーカーとの打ち合わせに出るよ」
「はい!今行きます!」
先を行く彼を追いかけるように、私もフロアを出る。
プロポーズから2ヶ月後、私たちは社内に結婚を発表した。
社内結婚したからと言ってうちの会社はどちらかが異動になることはなく、今もこうして同じ商品企画部で働いている。
だけど名前に関してはややこしくなるから、たっくんと相談した上で私は旧姓のままで仕事を続けることになった。
社用車の助手席に乗り込み、シートベルトを締める。
運転席に座る彼がハンドルを握るその左手薬指には、私と同じそれがキラリと輝いている。
「いつものやつ、持った?」
その言葉に、抱えていた紙袋を見せた。
「はい、老舗の饅頭。最近出た新しい味もちゃんと買ってきました」
「OK。じゃあ、行こうか」
車がゆっくりと走り出す。
この会社に入社してから現在まで、本当に色々な事があった。
15年ぶりの恋が再び動き出し、それが実るまでに様々な葛藤があり、何度も壁にぶつかった。
仕事では慣れない業務に戸惑い、優秀な周りの人物と比較し、劣等感に陥った。
そんな私を上司として支えてくれた彼、初恋の彼。
私は今日も、これから先も、仕事で今以上に彼に認めてもらえるように奮闘する。
上司であり、昔は幼馴染で今は夫である、彼に…
『上司は優しい幼なじみ』-END-
※大川拓海の過去のお話
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