上司は優しい幼なじみ
「陽菜にしばらく連絡しなかったのは、その準備をしっかりしたかったから。あの時の俺、少しでも陽菜に関わったら気持ちが溢れ出しそうだったからさ…冷静にプロポーズなんてできなかったと思うよ。半田には’連絡くらいしてあげろよ’って言われたけどな」

その言葉に、ずっと残っていた違和感の正体がわかった。
最近半田さんと二人で仕事することが多くなり、それなりに頑張っていた。

’仕事、頑張っているみたいだね’

あれは、私の様子を半田さんから聞いていたのかな?

’そっか…よかったな’

あの時の、駐車場での半田さんの言葉と表情、たっくんが改めてプロポーズすることを知っていたからかな?


私の知らないところで、たっくんはずっと、私のことを考えてくれていたんだ。



「たっくん」

「ん?」

胸元にうずめていた顔を上げる。
彼の両肩に手を添え、ぐっと体を持ち上げてキスをした。

目を丸くして動かない。
だけど気づいたら、私はたっくんの下にいた。

「た、たっくん。そのそろ準備しないと…」

「ん?まだ余裕あるだろ」

いたずらに微笑むその顔は、’大川部長’でも、幼馴染の’たっくん’でもない。
私の恋人であり、婚約者の’大川 拓海’だ。

昨夜繋がったばかりのこの場所で、そのまま二人は深い愛に溺れていくのであった。

< 274 / 275 >

この作品をシェア

pagetop