上司は優しい幼なじみ
「…ありがとう。ごちそうさまです。仕事、頑張るね」

そっと財布にしまう。
そういえば、私が言ったこと、たっくんは覚えているのだろうか。

「あのさ、たっくん。昨日のことなんだけど…」

「ん?あー、陽菜かなり酔ってたからね。あ、でも次からは飲み方気をつけなね?昨日みたいに変な絡み方されたらさ、俺がいればいいけど、誰もいなかったら危ないから」

私が聞こうとしていたこととたっくんが話していることが違い、もしかしたら覚えていないかもと、内心ほっとした。

「うん。ありがとうね。今日は車で来たの?」

「そうそう。だからそんなに長く停められないから、すぐ行かないとなんだ。もし陽菜が元気だったらそのまま出かけるのもどうかなーって思ったんだけど、今日はやめとくか?」

私があまりにもラフな格好をしているせいでそう思われたのだろう。
シャワー上がりですっぴんだし。
よくこんな格好でたっくんを出迎えられたものだ。
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