年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
『うん? どうしたリリア?』
 お母さんの話し出しと私の声が重なった事には気付いていた。だけどお父さんは、腰を低くして私と目線を合わせてくれた。
『お父さん、抱っこして!』
『抱っこか! よしリリア、おいで!』
 私が強請れば、お父さんはすぐに私に向かって両手を広げた。
『わぁ、高い! 私、お父さん大好き! 私、大きくなったらお父さんのお嫁さんになるー!』
 お父さんの腕に抱き上げられ、私は大はしゃぎで興奮気味に語る。
『それは嬉しいな!』
 お父さんはそれに、蕩けるような優しい目をして答えた。そうして私は、高くなった視界から、何の気なく横を歩くお母さんを見下ろす。
 お母さんと、私の目線が絡んだ。
 その瞬間、幼い私はピタリと動きを止めた。
『うん? リリア、随分と大人しいじゃないか? あぁ、眠くなってしまったかな』
 私はもう、はしゃぐ気にはなれなかった……。
 問いかけるお父さんの声も、どこか遠く聞こえた。

 ――浮かんだ記憶は、たったこれだけ。
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