年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 言葉の途中を不自然に途切れさせ、黙り込んでしまった私を、ゴードン伯爵夫人は赤ん坊をあやすみたいな手つきで、優しくトントンと抱き締める。
 ――トン、トン、トン。
 私は一旦、答えの出ない堂々巡りに終止符を打ち、優しいリズムに身を委ねた。
 すると突然、脳裏にかつての記憶の一片が蘇る。その記憶の中で、幼い私は右手を母、左手を父と繋いで歩いていた――。

『それで自治会長はなんておっしゃったの?』
『自治会費は地元住民だけでなく、保養で利用する方にも負担をお願いしたいって、そう答えていたよ』
 お父さんとお母さんは、ずっと二人で難しそうな話をしていた。
 二人の真ん中にいながらも、私は一人すっかり蚊帳の外でつまらなかった。
『そうですか……』
 お母さんが少し暗い表情で頷いて、ここで二人の会話が途切れた。
『あなた、それなんだけれど実は――』
『ねぇお父さん!』
 難しい二人の話に飽きていた私は、待っていましたとばかりに、このタイミングでお父さんと繋いだ左手を引きながら声を上げた。
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