年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 震えを隠すみたいにグッと強く抱き寄せられて、セラヴィンさんの厚い胸にトンッと額がぶつかった。そうすれば、胸から響く鼓動がとても速い事に気付く。
「どうか無茶をしてくれるな。お前になにかあれば、俺は……」
 続く言葉は、私の耳には届かなかった。セラヴィンさんが言葉を呑み込んだからなのか、単に私が聞き漏らしただけなのかは分からない。
 けれど途中までしか聞けなかったセラヴィンさんの言葉は、心の奥、深いところを苦しいくらいに締め付けた。
「ごめんなさい、セラヴィンさん。後先を考えない、私の悪い癖ですね。今後はしっかり、考えて行動するようにします」
 広い背中にギュッと両腕を回し、トクトクと駆け足の鼓動に耳を傾ける。セラヴィンさんは私を懐に、すっぽりと守るように抱き締めた。
「陛下、こちらでリリア様の手当てをいたしましょう」
 横から掛かるゴードン伯爵夫人の声で、セラヴィンさんがゆっくりと腕を解く。
「っ!?」
 その直後、突然セラヴィンさんに横抱きにされて、反射的に逞しい首に腕を回した。
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