年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 目を丸くする私に、いつもより近い位置にあるセラヴィンさんの美貌が迫る。額と額がコツンとくっ付けられて、鼓動がドクンと大きく跳ねた。
「妃教育よりなにより、その癖をどうか一番に直してくれ。でないと俺の心臓が持たん」
 熱い吐息と共に苦し気に囁かれて、一瞬で頬に朱が昇る。なんとか首をコクコクと縦に振って答えたけれど、逆上せてしまったみたいに頭の中はふわふわとしていた。
「まるで女神のようだな」
 するとここで、周囲を取り巻く人々の輪から、ポツリと声が上がった。
「うちの亭主は王宮勤めなんだ。あのお方はリリア様といって、陛下の未来のお妃様さ。本当に素晴らしいお方だねぇ」
「なんと!? あの方がお妃様に! そりゃあニルベルグ王国の未来は明るい!」
「国王陛下万歳! ニルベルグ王国万歳!」
 最初にあがった声を皮切りに、方々から湧き上がる歓声と拍手をセラヴィンさんの背中越しに聞いた。
「リリア様、万歳!」
 耳に飛び込んだ私を称える声に、驚きで頭が真っ白になった。
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