年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 浴室の扉が開かれる音を聞き、反射的に扉に向かって声を張った。
 侍女の誰かが備品の補充か何かで来たのだろうか? どちらにせよ、入浴を急ぐあまり鍵を掛け忘れてしまったのは、私の落ち度だ。
 体はまだ芯まで温まっていなかったけれど、私はタオルを手元に引き寄せて、湯船を出る準備をした。
 ……え、なんで?
 私の思考は混乱していた。入浴中と告げ、入室者はすぐに出て行くものと思っていた。なのに入室者は湯けむりの中、一歩、また一歩と私の入る湯船に近付いてきていた……!!
 どうして!?
 バクバクと心臓が胸を突き破りそうな勢いで鳴っていた。私はタオルを握り締め、湯船の奥で身を縮めた。
 入室者の姿は湯けむりに霞み、いまだ定かでなかった。
「リリア、儂だ。背中を流してあげよう」
「お義父様!?」
 聞こえてきたお義父様の猫なで声に、心臓が大きく跳ねる。頭の奥で、キーンという金属音が反響していた。
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