年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「……もう、胸当てなんていらない。お母様がこんなに怒るって分かっていたら、欲しがったりしなかったのに」
 小さく呟きながら、ここでふと、気付く。
 そういえば、この屋敷に来たばかりの頃にも、お母様が物凄く怒った事があったっけ。
 あの頃はまだ、私もお母様、お義父様と三人で食事をしていた。その食事中、お義父様がお母様に何か囁いた。その後、お母様は人が変わったように怒った。
 ……あの時、お義父様はなんて囁いたんだっけ?
「駄目だ……、思い出せないや。まぁ、思い出したところで、いまさらどうなるものでもないか」
 私は少し乱暴に胸の辺りを洗い終えると、足先まで全身を隈なく洗い、洗髪まで全て済ませて、湯船へと飛び込んだ。
 潤沢なお湯に浸かれば、ふんわりと心と体が解れる。
 私は湯船の壁に背中を預け、ホゥッと宙を仰いだ。

 ――カタンッ。

 ……え? 誰か、入ってきた!?
「あ、あの! 入っています!! 私が入浴しています、すぐに出ますから!」
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