年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 その心を知ってしまえば、私に静かに頷く以外の選択肢はなかった。
 セラヴィンさんは私の答えにスッと目を細くして、髪を梳いていた手を止める。そうして指先で髪をひと房取り上げると、そっと唇を寄せた。
 神経など通らないはずの髪への口付けはしかし、確かに私の胸を熱くする。ドキドキと胸が騒ぎ、そわそわと落ち着かない心地がした。
「ところでセラヴィンさん、そのレース編みはどうしたんですか?」
 私は内心の落ち着かなさを誤魔化すように、セラヴィンさんが腕に抱えるレースに話題を向けた。
 セラヴィンさんが部屋に入って来た時から、ずっと気になっていた物でもある。
 だけど、私が振ったこの話題に、セラヴィンさんは何故か表情を曇らせた。
「セラヴィンさん?」
「体調が本調子でない今のお前に告げるべきか随分と迷った」
 セラヴィンさんはこんなふうに切り出した。
「だが、体調いかんに関わらず、告げるべきだと思った。……リリアが祖母と慕うスコット子爵夫人の事だ」
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