年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 先ほどまでの高揚とは、別のところから胸が騒いだ。
 私は煩く打ち付ける心臓を右手で抑え、静かにセラヴィンさんの続く言葉に耳を傾けた。
「昨日の深夜、スコット子爵夫人が息を引き取った。このレースは、一報の早馬が報告と共に携えてきた。スコット子爵からの言付けで、これは生前の夫人がずっと編み続けていた物で、お前への結婚祝いだそうだ」
 やり場のない悲しみが熱い雫になって結ばれて、眦からホロリ、ホロリと頬を伝った。
 だけど私に、驚きはなかった。
 乱れた文字……。訊ねたのに書かれなかった体調……。前倒しで告げられた婚姻の祝福……。
 そして私は、このレースの存在にも、心当たりがあった。
 ひとつひとつは、どれも小さな違和感。だけど全てが合わされば、違和感は大きな疑念となって私に警鐘を鳴らしていた。
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