年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 それに触れた部分から、まるで自分という存在が清らかに塗り替えられていくかのような錯覚がした。
「以前と状況は変わりましたが、保留にしていたお母様への処遇が私の中で固まりました。私はお母様に対し、ニルベルグ王国の法に則った適正な処罰を望みます」
「それでいいんだな」
 もう、迷いはなかった。
「はい。本当は、マクレガン侯爵家に嫁ぐために家を出た時にもう、お母様との別れは済ませていたんです。この上、私の人生とお母様の人生が交わる事はありません」
「……そうか。その決断に俺は心から敬意を表する」
 負の感情の威力というのは大きく、真っ黒な渦となって私が落ちてくるのを手ぐすね引いて待っている。
 心が弱った時は、立ち向かうよりも呑まれる方が簡単で、僅かにでも気を緩めれば容易に呑み込まれてしまう。
 だけど私は両足を踏ん張って前を向く。
 ……私は、お母様と同じ側には落ちるまい。
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