年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 姿見の中の少女はこけた頬に笑みをのせた。だけどその笑みに覇気はない。
 それもそのはず、私はもう三日、まともに食べていないのだから……。
「セーラに貰った甘い飴玉が、また食べたいなぁ」
 日に透ける淡い金髪と、故郷の湖沼地帯を彷彿とさせるブルーグリーンの瞳が懐かしく思い出された。
「セーラ、元気かなぁ……」
 私はセーラとの綺麗な思い出に浸りながら、そっと寝台に体を沈めた。



 私はリリア・スチュワード、先月十一歳になった。
 母の再婚で義父となったのがスチュワード辺境伯で、義父の治める辺境伯領はデルデ公国の西側に位置し、先ごろまで政変で混乱していたニルベルグ王国と隣接している。
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