年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 クツクツと肩を揺らし続けるルーカスさんを、私はなにがなんだかよく分からないまま、ポカンとして見つめていた。ちなみにルーカスさんが肩を揺らせば、取られたままの私の右手も共に、ガクガクと揺れた。
 ……人って、見た目によらないのね。
 第一印象で怖い人かと思ったけれど、むしろ逆で、ルーカスさんはまさかの笑い上戸だ。
「おいルーカス、いい加減にしないか。リリアが困っている」
 これまで私たちのやり取りを静観していたセラヴィンさんが、ルーカスさんの手首をむんずと掴む。
 すると、ルーカスさんの手が緩み、私の右手が解放された。セラヴィンさんはそれを見て、掴んでいたルーカスさんの手をぞんざいに放った。
 チラリと見えたルーカスさんの手首は、ちょこっと赤くなっていた。
「すまんすまん……っと、そうそう。マクレガン侯爵とは穏便な話し合いの末、全て無事に決着した。違法な婚姻の事実を公表しない代わりに、侯爵もまた全てに口を噤むそうだ」
 ……え?
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