年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 もちろん、大々的にこの事実を公表されてしまうのは、マクレガン侯爵にとって痛手だろう。だが、それを加味しても、果たしてこの決着は本当に穏便な話し合いで決定したものなのだろうか……?
「ちなみに支払い済みの支度金に関しても、スチュワード辺境伯家への返還等は求めないそうだ」
「っ、そんな事がっ!?」
 ルーカスさんが物のついでみたいに続けた台詞が、私に先の疑問など吹き飛ばすほどの大きな衝撃をもたらした。胸がドクンと大きく跳ね、その後もバクバクと鳴っていた。
「一応念書ももらってるから確かだぜ」
 ルーカスさんは晴れやかに言い切った。
 ……これまで、お母様への呵責がずっと胸で疼いていた。その呵責を鎮め、明光をもたらすかのように、聞かされた内容が胸で反響していた。
「……本当に、婚姻の事実がなくとも支度金がそのままお母様の手元に残るんですね」
 知らされたこの事実は、私にとって大きい。それは、私の未来を左右するほどに……。
 カタカタと震える指先をギュッと握り込む。
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