同居中のイケメン幼なじみが、朝から夜まで溺愛全開です!
「綾乃……とりあえずここを出るよ」
「え……?」
顔を上げたわたしの目に千景くんの姿が映る。
乱れた前髪が無造作に上がって、どれだけ急いで走ってきたのかネクタイが曲がってる。
慌てて来てくれたのがわかって、じんわり胸が温かくなった。
「ちょっと我慢してね」
ふわっと宙に浮く体。
あの雷の日と同じように、千景くんは軽々とわたしの体を持ち上げた。
「しっかりつかまってて」
涙で濡れた顔を見られたくなくて、小さく頷きながらうつむく。
そして千景くんの胸に頭を預けた。
あはは……わたし、まだ震えてる。
抱きかかえてくれる千景くんの腕に、ギュッと力が込められた。
だから──。
このときのわたしには、千景くんがどんな顔をしているかなんて、わからなかったんだ。