僕だけが独り占めしたい。
さっきは勢いに乗せられてキスしたけど、ここは学校で、空き部屋でいっしょにいるところを見られたら……と考えただけでこわいのに彼はそんなこと気にしていない。

いまさらかもしれないけど、問題だと思う。




「それはだめだよ……っ、わたしそもそも届かないし」


この言い訳が間違っていたとあとから気づく。「ふーん」とうれしそうに笑った海翔くんはかがんでわたしと目線を合わせてきた。



「今度は?届く?」
「なっ……」

「すきだよって言ってキスしてしてほしい」
「そ、それは……やだよ……」



いつもは見上げていたのにいまは目線が同じで、だからもっともっとドキドキして。

さっきまでかわいいと思っていたのに、急に男の人になって、顔を近づけて催促してきて。



「はやくーじゃないとさっきみたいなキスするよ。ふかーいやつ」
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