僕だけが独り占めしたい。
「あるよ」とは言い返せない。



「ないけどぉ……わかるでしょ?」
「わかんないから教えて」

「ここ学校だよ?」
「今更だよ。ほらはやく」




わたしの理想は、優しくてリードしてくれる人だったし、自分で言うのも尺だけど、こどもっぽいから自分よりも大人の人がいいと思っていた。

海翔くんはたしかにかっこいいけど、やっぱりどこか苦手意識があって、わたしとは接点のない人だと思っていたのにいまは変わっていて。



「わたしもすきだよ?誰に何言われても海翔くんじゃなきゃだめなんだよ……やる気なくても、男の子っぽくなくてもすき」
「じゃあ、芙結ちゃんからキスして」




わたしがせっかく答えたのにそこには触れないで、また新たなお願いをしてくる。
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