求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「……あれは本気で仕事を探していた訳じゃないから。転職なんて考えてないよ」

「本当ですか?」

「うん。だから他の人にこの話はしないでね」

菅原を騙すようで悪いとは思うけれど、こんな話は噂でもされると困る。

特に遥人には聞かれたくない。

(もしどうして辞めるのって聞かれたら、多分、上手く答えられない)

「菅原君、今の話は本当にここだけにしてね」

「ふたりだけの秘密ってことですか?」

「……うん」

言い方が気になるが突っ込んでも時間がかかるだけなので、頷く。

その直後、ふと手元が暗くなった。
何事かと顔を上げると遥人が照明の灯りを遮るように佇んでいた。

「えっ? 才賀君?」

どうして遥人がここに?

菅原に何か用があるのだろうか。それとも結衣に? 戸惑いながらあれこれ考えていると、結衣の焦りとは正反対の間延びした声が耳に届いた。

「あれ、才賀さんも休憩ですか? あっ瀬口もいるのか?」

(瀬口さん?)

後半は打って変わって厳しくなった菅原の声に視線を動かすと、少し離れた位置に瀬口梓が居た。浮かない表情でこちらを見ている。
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