求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~

「あ、ゆっくり食べて下さい。俺が早いだけなんで」

そうは言われても、食事しているところをじっと見られるのは落ち着かない。

スプーンを運ぶ手をスピードアップする。すると菅原が躊躇う様子を見せながら発言した。

「水島さん、最近元気ないですよね。面倒な仕事を押し付けた俺が言うことじゃないとは思うんですけど、大丈夫ですか?」

結衣は少し驚きながらスプーンを置いた。

「大丈夫だよ。今回の件は困ってるけど、それだけで悩んでる訳じゃないから。心配かけたみたいでごめんね」

気分が塞いでいる主な原因は、もちろん遥人とのこと。でも会社では表に出さないように気を付けていたから、それ程鋭いとは思えない菅原に気付かれたのは意外だった。

(もっと態度に気をつけよう)

そう心に留めて話題を変えようとしたのに、菅原が驚く発言をした。

「本当ですか? でも水島さん会社辞めようとしてますよね?」

「え?」

彼の言うとおり、確かに転職を考えてはいる。

(でもどうして菅原君が知ってるの?)

仕事を辞めようか迷っていることは、まだ誰にも話していない。
そもそも具体的な行動は取っていないのだから。

「どうしてそう思うの?」

「水島さん、転職サイト見てましたよね。ああいうのってその気がないときは見ないものだから」

「私が見てたって、どうやって知ったの?」

「昨日帰りに駅で会いましたよね。あのとき水島さんのスマホが見えちゃったんですよ」

言われてみればたしかに会社帰り仕事の検索をしていた。

なんとなくどんな求人があるかを眺めていた。まさか同僚に見られるなんて思っていなかったから。
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