求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
ここ最近の遥人の様子から、嫌がられるとは思っていなかったのでショックだった。
「あの、ごめん、こんなこと言って。明日はみんなで飲むからどうなんだろうと思って」
黙ったままでいるのが気まずくて、結衣が先に発言する。
(私、どうして言い訳しているんだろう)
遥人の態度も自分の反応も納得はいかないけれど、なぜ秘密にするのかと追及する勇気がない。
「ごめん、はっきりさせないと結衣も困るよな」
ようやく遥人が口を開いた。気を遣っていると分かる声音で、折れそうだった心が少しだけ復活する。
「困ってるというか……部内で一部の人に才賀君との仲を疑われているのもあるし、私自身がずっと秘密なのは不安なんだ」
「……そうだよな。いつも気持ちを伝えているつもりだけど、前回のことがあるから結衣が心配になるのは当然だ。ごめん、少しだけ時間が欲しい」
時間が欲しいというのはどういう意味だろう。分からなかったけれど、彼に気持は伝わった。
「分かった。ごめんね急かすみたいで」
「いや、俺が悪いから」
「そんなことないよ。それよりも明日が楽しみ。頑張って仕事を終わらせようね」
暗くなってしまった空気をなんとかしたいと、わざとらしい程明るく言う。
遥人も「ああ、頑張る」と答えてくれた。
それからしばらくたわいのない会話をして電話を切った。