求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
翌朝、会社のパントリーでばったり会った遥人は、昨夜の気まずさなど無かったように屈託のない笑顔を結衣に向けた。
「おはよう。今日は早いんだな」
「うん。早めに仕事を始めようと思って。才賀君はいつもこの時間だっけ?」
「そう。朝の方が効率がいいんだよな……結衣もコーヒー?」
遥人はコーヒーを淹れているところだった。
「ううん。最近、朝はこれにしてるの」
結衣は家から持って来ているハーブティーを鞄から出して遥人に見せた。
「へえ、知らなかった」
遥人は意外そうに呟き、その場に留まって結衣の作業を眺めている。と言ってもお湯を注ぐだけだけれど。
「爽やかな香りだな」
「ペパーミントなの。飲むとすっきりするから気に入ってるんだ。飲んでみたくなったら言ってね、沢山あるから」
お茶お準備が済んだので、フロアに戻る。ただもう少し話したい気持ちが現われて、ゆっくりとした足取りになる。
「夜だけど、結衣はまっすぐ店に行くのか?」
「うん、そのつもり。才賀君は?」
「俺も直行だから、一緒に行こうか」
「え、でも……」
大丈夫なのだろうか。遥人は付き合いを隠したそうなのに。遥人は結衣の言いたいことを察したように言う。
「同じ部なんだから一緒に行ってもおかしくないだろ?」
「あ、そうだよね」
遥人の言う通りだ。以前だって一緒に行ったことがあるのだし、不自然ではないはず。
意識しているせいか、必要以上に隠そうとしているみたいになっていた。
「じゃあ終わったら声かけるね」
「ああ」
遥人に軽く手を振り、自席に向かう。
早い時間なので結衣の席の周りには誰もいない。
「さあ、頑張ろう」
ひとり気合を入れて、仕事に取り掛かった。