求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
『瀬口さんもそんなことしてたんだ……知らなかった』
建築士たちは意匠設計してそれをチームミーティングで発表して意見を交換し、時には現場に行き進捗を確認する。イメージが違っていれば修正する為動いたりと、とにかく創造的な仕事だと思っていた。
面倒な仕事は結衣たちに回って来る。
そうやって建築士たちが存分に手腕を発揮する為にアシスタントがいるのだから当然かもしれないが、頑張りが認められないのは結構虚しい。
『部長たち上役はたいてい彼女に仕事を振るんだ。女性だから頼みやすいんだろうな。で、俺たちもフォローしようとはするんだけど、瀬口さんは引き受けた仕事は自分でやりたがるんだよな』
遥人は困ったように言う。多分、何度か手助けを申し出たのに断られたのだろう。
その様子が想像出来る。結衣から見た梓は自分にも他人にも厳しい感じで、誰かを頼るようには見えない。
かなりの美人なのだけどいつも張り詰めた空気を纏っている。ファッションも常にパンツスーツで、選ぶ色もダークなものばかり。あえて女性らしさを排除しているようにも映る。
そういった彼女の雰囲気が近寄りがたいのか、誰かと親しく話しているのを見た覚えがない。
結衣も彼女とは年齢も入社年も一年しか変わらないのに近寄り難い人という認識だった。
孤高の存在のように思っていたのだ。