求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
思い浮かんだ記憶に浸っていると、とがった声が耳に飛び込んだ。
「私、ひとこと言って来るわ」
気付けばまどかが席を立ち、梓のいる作業ブースへ向かおうとしている。
「あ、まどか待って!」
「なんで? メール最後まで読んだ? あんなクレームの後に特急の依頼まであるんだよ。しかも内容的に私達が担当じゃないし」
「え、そうなの?」
まどかを引き止めつつメールの文面に目を遣る。確かに新たな依頼が合った。
内容はクライアントとの設備設計打合せに関する資料作成。まどかが言う通り、建築デザイン部の仕事ではなく、設備設計部の仕事だ。
つまり梓の仕事でもない。
(また誰かに押し付けられたのかな……)
「これは大丈夫。私、別件で設備設計に用が有るからついでに頼んで来るよ」
まどかがむっとしたように眉をひそめた。