求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「私も……私も才賀君がいないと駄目。誰かを傷つけても離れられないの」
一度止まった涙が溢れ、結衣の頬を伝っていく。
日奈子の挑むような目が脳裏に浮かぶ。あの時はただ恐ろしかったけれど、きっと彼女も必死だった。遥人を好きな気持ちは結衣と同じなのだ。
(ごめんなさい……でも彼は譲れない)
遥人が体を離し、結衣の顔を見つめ、大きな手が涙の痕に触れる。
「大切にしたいと思ってるのに悲しませてばかりだ……ごめんな」
「才賀君が好きだから悲しくなるんだよ。だからもう私を離さないで」
今夜は本当に情緒が不安定になっている。気持ちが高ぶり言葉と涙になって溢れてばかり。
遥人も同じなのか、結衣を抱きしめる腕がかすかに震えていた。
「絶対に離さない。結衣だけを愛してる」
囁きのあと、見つめ合う。どちらともなく近づき唇がそっと重なりあった。
愛しくて、胸の中は切なさでいっぱいになる。
「才賀君……もうどこにもいかないで」
「ずっと結衣の側にいる。何があっても」
キスは誓いのようだった。何度触れ合っても物足りなく、気付けば隙間なく抱き合っていた。
遥人の抱擁は強く口づけは深く激しい。瞬く間に結衣の思考に霞がかかった。
結衣の唇を割り遥人の舌が押し入って来た。口内を探り結衣の舌を捕らえると、濃密に絡め取られる。
「んっ……んん……」
ぞくぞくとした震えが全身に広がり、体中が敏感になっていくようだった。
その頃には遥人も結衣も言葉は不要とばかりに、ひたすら触れ合いお互いを求めるようになっていた。
何も考えられなくなる程キスをするなんて初めての経験だった。息継ぎで離れてもどちからからともなく直ぐに近づく。
いつベッドに組み敷かれたのかも分からない程に夢中で、気付けば遥人の大きな手に素肌を撫でられ高い声を上げていた。
「はあ……あ、ああ……」
どこを触れられても気持ちよくて堪らない。深い陶酔を覚えながら遥人を見上げる。
彼も何も身に付けていない。汗ばんだ体で結衣を抱きしめる。
中に入って来た遥人は何かに耐えるように歯尾を食いしばった。
余裕なく獰猛。そんな彼を見るのは初めてだけど怖いとは思わない。それだけ求められているのだと結衣の心は満たされる。
けれど、遥人の動きが激しくなるにつれ、目をあけられなくなっていった。ただひたすら彼に縋り、こみ上げる衝動に耐える。
(才賀君……好き……もう離れない……)
思考はそれだけ。感極まった自分の叫び声をどこか遠くに聞いていた。