求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「旅行用の鞄に綺麗に包装されたネックレスが有った。普通に考えれば恋人へ贈る為のものだ。でも俺が用意していたものは恋人であったはずの北桜さんに似合っているとは思えないものだった」
「……そのプレゼントは北桜さんの為のものではない?」
恐る恐る尋ねる結衣に、遥人が切なそうな表情で答える。
「見つけたとき真剣に考えたけどネックレスについて何も思い出せなかったんだ。でも、眺めているとなぜか結衣を思い出した。結衣への想いを忘れて、ただの同僚だと思っていた頃なのに」
息苦しくなるような緊張を覚えた。それは期待と不安から。
(私に贈ろうとしてくれていたの?)
結衣を思い出すのは、結衣の為に用意したものだから?
記憶をなくしても、何かが彼の中に残っていたのだろうか。
(どうか、そうだと答えて……あの日私を裏切ったんじゃないと言って)
祈るような気持ちの結衣に、遥人が言う。
「俺は結衣のためにネックレスを用意していたんだ。旅行に誘ってプレゼントなんてそれまでの俺には考えられない行動だ。でもそれ程好きだったんだ。あの時俺が想っていたのは結衣だけだった、そう確信している」
感極まったような遥人の声と共に、そっと背中に腕が回る。
「ほ、本当に?」
「ああ。俺には結衣だけだ。北桜さんに対して酷いことをしたのは分かってる。それでもこの気持ちは変えられない」
頼りある腕に囲われ、想いを表すように強く抱きしめられる。