求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~

「ああ。家族は北桜さんと別れたことを良く思っていない。記憶を無くした俺が一方的に突き放したと思って彼女に同情しているんだ。そんな状況で結衣と付き合ってることを会社経由で知ったら誤解して結衣への印象が悪くなる。だから全て一から話して納得して貰おうと思ってる」

親に自分の恋愛を語るのはきついんだけどな、と遥人は苦笑いになる。

「……もしかして、付き合いをしばらくは公表したくないって言ってたのは、家族への説明をする為だったの?」

結衣が遥人の家族に、悪い先入観なく受け入れられるために?

「そう。本当はすぐにでも結衣は俺のものだ!って言ってまわりたかったんだけどな」

遥人は冗談っぽく言ったけれど、結衣は情けない気持ちで目を伏せた。

「私、才賀君がそこまでしっかり考えてくれてるとは思わないで不安になってた。情けないよね」

考えてみれば当然だ。遥人の家族は会社のトップなのだ。噂が回ったら結衣の存在なんて簡単に調べられる。一番初めに対応しなくてはならない相手だったのだ。

「情けなくなんかない。結衣を不安にさせてばかりの俺が悪いんだから」

遥人はそう言うとカップを置いて立ち上がった。

「そろそろ行くよ。話合いが終わったら連絡するから」

「うん」

遥人は見送る結衣を抱き寄せキスをした。

「安心して待っていて。愛してる」

ドキドキと胸を高鳴らせる結衣を置いて、遥人はマンションを出て行った。

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