求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
ひやりとする場面はあったものの、遥人の記憶の問題については気付かれることなく、和気藹々と同期会は一次会を終了した。
居酒屋を出て、二次会に行く者と帰宅する者に別れる。
今日は水曜日なので、二次会参加は半数程度だった。
高野と亜実はもちろん参加。遥人には参加するのか聞いていないけれど、当然連れて行かれるだろう。
結衣は皆と別れると、ひとりで駅までの道のりを歩いた。
十一月に入ってから急に寒くなった。ふきつける風が冷たくてコートの前をしっかりしめる。
(前回の同期会の帰り道は暑かったな……)
あれからまだ二か月しか経っていないのに、季節も状況も大きく変化している。
(前は……こうしていると才賀君が追いかけて来て、家まで送って貰ったんだよね)
彼はとても優しかった。
結衣に対する好意を、態度と言葉で伝えてくれて、本当に幸せだった。
(あんな事故さえ無かったら)
今、遥人と一緒にこの道を歩いていて、彼の温もりで寒さなんて感じなかったかもしれない。
でも、もうそんなことは絶対に望めない。
唐突に一人の寂しさに襲われ、思わず足を止めた。
動悸がして、まともに歩けない。
(私……なんでこんな……)
その時、駆け寄って来る足音と「水島さん」と呼びかける聞きなれた声が耳に入った。
結衣は目を見開き勢いよく後ろを振り返る。
「才賀君?」