求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
「さっきから思ってたんだけど、なんで水島さんなんて呼んでるんだ? もしかしてふたり喧嘩中?」

「え?」

遥人の顔に戸惑いが浮かぶ。高野はそんな遥人の変化に気付く様子もなく続ける。

「いつも結衣って呼んでただろ? なんで変えたんだ?」

核心を突かれたような気がして、ドキリと鼓動が乱れた。

何か言わなくてはと口を開きかけたところで、亜実が割り込んで来る。

「あ、それ私も思ってた。呼び方だけじゃなくて、今日ふたりとも様子が変だよね。妙に他人行儀と言うか。前は付き合ってるのかって疑うくらい仲が良かったのに」

遥人が驚愕したように目を見張る。

彼は何も覚えていないのだから当然だ。ここは結衣がなんとかしないと。

「あ、あの。仕事中につい呼び捨てが出ることが多くて。やっぱり良くないかもと思って変えたの。同期でもけじめは必要だし」

苦しい言い訳だと分かっているけれど、他に言いようがない。

「建築デザイン部って意外に細かいんだな」

高野が首を傾げる。

「仕事はしっかりしてるんだし、気にしなくていいのに」

亜実は少し不満そう。遥人は何か考え込むように口を閉ざしてしまった。
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