【完】淡い雪 キミと僕と


陰口を叩かれる事には慣れている。学生時代からよくこういう事はあった。

高校時代に仲の良かったグループの中でも、その中のひとりの女の子が好きだったサッカー部の先輩が、わたしを好きだと分かった時だって。

告白はされた。でも全然好きでもなかったし、タイプではなかったから断った。

’美麗のせいじゃないよぉ、気にしないで’と言っていた女の子が、わたしの悪口をグループ内で漏らして、そこにいた全員が同意をした。

’確かに美麗は可愛いけど、酷い女だよねぇ~’って楽しそうに話しているのを実際聞いた。傷つきはしなかった。女の友情はそんなものだとも思っていたし、陰で悪口を言われても面として会えば普通に接してくるのだから。


実際にトイレで陰口を叩いている女子社員の言う事に間違いがない部分はあるのだ。

わたしは合コンにも行きまくってるし、馬鹿女でもあるだろうし、井上さんの事も初めは遊びのつもりだった。

ヤリマンという所は強く否定したくはあるけれど、あらかた間違ってはいない彼女たちの考察は。


はぁ、いつトイレから出よう。

面倒くさい場面に遭遇してしまったと思った。

制服のポケットにいれておいた携帯でゲームをして暇をつぶそうか…。けれど何故陰口を叩かれているわたしの方が惨めな思いをしないといけないのだ。トイレの鍵に手をかけた時、だった。

「山岡さんはそんな人じゃないですよッ」

隣のトイレのドアが開いたと同時に透き通った声が室内に響いた。

…この声は、よく知る声。いつも隣で、柔らかくわたしの鼓膜を揺らす声だ。


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