【完】淡い雪 キミと僕と
0.大輝『おわりに』

0.大輝『おわりに』




終わりにいっておこう。

俺には世界で1番苦手な女がいる。



その女と言うのは、名は山岡美麗。

港区で受付嬢をしているごくごく普通の女。

性格は素直でなくて、可愛げもなく、けれど時たまハッとするような優しを見せる女で。

容姿は儚げで一瞬男ウケをするよくいる量産系の結構モテる女。ぱっちりとした二重で大きな瞳に長い睫毛が揺れる。唇が小さくて、泣きそうな顔をしていつも笑っている。

口を開けば生意気な事ばかり言って、でも時たまキュンとするような言葉を放つ人間で、小悪魔のような人物。



大切な事なので、もう一度言う。いや、一度と言わず何度だって言おう。

俺は、この女が世界で1番苦手だった…。

近づかないでおこうと思った。…もしも好きになってしまったら大変だとは、初めから気づいていたから。



そして、俺は西城大輝。4代続く西城グループの社長令息。

容姿はまぁイケメン。俺を好きにならない女など、この世には中々いないだろう。

港区界隈でもチヤホヤされ生きてきた。馬鹿な女など、星の数ほど寄ってきた。

性格は、悪い。自分で言うのもなんだが、きっと悪いだろう。極悪非道などど、陰で呼ばれているに違いない。

そしてまた山岡美麗も、こんな俺を世界で1番嫌っている筈…だった。



そんな俺たちを繋いだ数奇な運命たち。

俺と美麗の間には沢山の事があった。

どうしようもない出会い方をして、お互いに嫌い合って、それでもどうしても途切れはしなかった糸を

俺は赤い糸という、ロマンチックな物と呼びたい。

そしてこれから先の未来もずっと一緒にいる。これは予感ではなく、確信。

神様がもしもいたとして、その神が何度も俺たちを引き裂こうとしたとしても、彼の持っている魔法を奪い取り

必ず彼女と一緒にいる未来へと何度でも繋げてやろう。

ひとつだけ願いが叶うのならば、永遠に彼女と生きて行く世界線を俺は生きていたいと切に願う。



完結
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