【女の事件】とし子の悲劇・2~ソドムの花嫁
第13話
2018年8月26日のことであった。

アタシは、赤茶色のバッグを持って三木町池戸(いけのべ)にある医大病院へ行った。

8月10日の夜、まんのう公園の近くの雑木林でカップルが襲撃された事件で、恐ろしい覆面をかぶった男のグループからシツヨウに犯されてボロボロに傷ついた女子大生が入院をしているので、アタシはお見舞いに行った。

病院の敷地内の木々では、つくつくぼうしがひっきりなしに鳴いてた。

アタシは、病院の総合受け付けに行って女子大生が入院をしている部屋を聞いたけど、面会謝絶状態と言われた。

女子大生は、ベッドに1日中いて窓の風景を見つめているだけ…

どうして…

男たちは…

カノジョを…

立ち直れなくなるまで…

ボロボロに傷つけたのよ…

許せない!!

その日の午後2時過ぎのことであった。

アタシは、まんのう公園の近くの雑木林の入り口のところへやって来た。

この時、60代後半のシツジの男性が大きめの花束と和菓子をお供えして、静かに手を合わせていた。

アタシは、シツジの男性に声をかけた。

「あの…すみません…」
「何でおますか?」
「8月10日に発生したカップル襲撃事件で亡くなられた男性のお供え物でしょうか?」
「そうでおます…うちの屋敷のお坊っちゃまが亡くなったのです。」
「お屋敷って…あなたは、シツジさん?」
「へえ…そうでおますさかいに…おたくはどちらさまでおますか?」
「アタシは、亡くなった女子大生のコと一緒にバイトをしていた友人です…あなたは…大阪からお越しになられたのですか?」
「そうでおます…ここで立ち話もなんやさかいに、公園の方へ行きまひょか?」

アタシは、シツジさんと一緒にまんのう公園の展望台へ一緒に行った。

ところ変わって、まんのう公園の展望台にて…

アタシとシツジさんは、こんな会話をしていた。

「ぼっちゃまは、大学を卒業したら大阪の実家の薬問屋を継げとご主人様から命ぜられていたのです…しかし卒業式の3日前に『就職先が決まったけん、そのまま岡山で暮らす…大学の時に出会ったカノジョと婚約をした…薬問屋は別のひとに継がせろ…』とわやくちゃ(むちゃくちゃ)ばかりを言うてはりました。」
「あの~、おたくのお屋敷には、他にもごきょうだいはいてはらんのですか?」

アタシの問いに対して、シツジさんはけわしい表情でアタシに言うた。

「きょうだいはいてはるけど…上の3人の兄は…薬問屋を継がん言うてはりまんねん…一番上の兄は、投資関係のお仕事でシンガポールに生活拠点をかまえてはる…二番目の兄は、防衛大学卒業後、幹部自衛官になった…三番目の兄は、道楽三昧が災いしたのでご主人様からカンドーされたました…ほんで(それで)ぼっちゃまが跡継ぎとなったのでおます。」
「お姉さんか妹さんはいてはるのかしら?」
「おじょうさまは、ぼっちゃまの姉だけど…女子大卒業したら、いい縁談があると両親に言われて結婚をする予定やったけど、府立の学校の先生になる言うて、縁談をけりました。」
「縁談をけった?」
「へえ…」
「もうひとつ、聞きたいことがあるのです…おたくのお坊っちゃまの女性問題のことについてお聞きしたいのですが…」
「お坊っちゃまは、女性問題をショッチュウくり返してはったさかいに…在籍していた大学で異性のトラブルを起こして、何人の学生をやめさせたのか…なさけないわホンマに…」

シツジさんは、アタシの前で涙をポロポロとこぼして泣いてはった。
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