wedding day
「お姉さん、アシェルがごめんなさい」

ペコリとマシューは頭を下げる。彼はとても頭がよく、オーロラはよく驚かされている。

「大丈夫。全然謝る必要ないよ。それより二人はどうしてここにいるの?」

マシューとアシェルにオーロラは訊ねる。アシェルは無邪気に笑いながら言う。

「お母さんにおつかいを頼まれたから買いに行ってるんだ!」

「えっ?二人で?」

アシェルは頷くが、マシューはこっそり後ろを指差す。オーロラがマシューの指差す方を見ると、物陰からこっそりシャーロックとカレンが見ていた。

「二人でも大丈夫そうね」

オーロラは微笑み、二人に手を振って離れた。二人に会えてよかったと思いながらオーロラは歩く。暗い気持ちは少しだけ晴れた気がした。

「ねえ、オーロラ」

不意に声をかけられ、オーロラの肩が震える。その声は恐ろしいほど冷たいものだった。

「あなたは、同じ劇団の……」

オーロラが振り向くと、同じ劇団の人がいた。冷たい目でオーロラを見つめている。オーロラの中に嫌な予感がした。
< 16 / 28 >

この作品をシェア

pagetop