wedding day

エヴァの目はいつもの目ではなかった。まるで、獲物を狩る前の猛獣のような目だ。その目にオーロラを脅していた人の顔は真っ青になっていく。

「君、何しているの？人を脅すような人はうちの劇団にいらないんだけど」

普段温厚なシリウスたちも怒りを体中から表している。その人は「ひっ！」と悲鳴を上げて逃げていった。

「オーロラ、大丈夫？」

かぐやたちが声をかけてくれたものの、オーロラの中に「安心」というものは生まれなかった。むしろ、隠してきたことがバレてしまい恐怖で体が震えていた。

「ごめんなさい！ごめんなさい！ごめんなさい！」

オーロラは泣きながらエヴァとシリウス、そしてみんなに謝る。泣きながらその場を立ち去った。

走り去るオーロラは気がつかなかった。困惑しているシリウスたちをアルフィーが見つめていたことに。



オーロラは逃げるように家に帰ってからずっと泣き続けていた。どれだけ泣いても悲しみや苦しみが癒えることはない。ただ涙を流し続ける。

「私なんて、最初から生まれなければよかった……！」