魔界レストランをバズらせます〜転生少女の立ち退き撤回奮闘記〜
彼の作る料理は絶品だった。
シーザーサラダにパスタ、ピザ。どれも素材の旨みを生かした繊細な味付けで、デザートのプリンはとろけるような食感だ。優雅にローストビーフを口に運ぶルキも、チキンにかぶりつくケットも満足げである。
食材を用意しておいてよかった、なんて思っていると、私の策略に気づいた様子のヴァルトさんは「悪い子だね」とぼやいていた。
エプロンを解いた後、彼はレティさんの隣に腰掛けている。
「お味はどう?口に合うかな?」
「はい!とても美味しいです」
「ふふ。それは良かった」
笑い合うふたり。
レティさんは、フォークを置いて隣を見上げた。
「祖母はいつもあなたの料理を褒めていました。都市のダイニングバーはなくなってしまったけど、ここに来たらいつでも食べられるんですね」
「え?」
まばたきをするヴァルトさん。
笑顔の少女は、少し照れながらそっと続けた。
「私、また来てもいいですか…?」
そのやり取りを盗み聞く私達。
ドキドキしながら耳をそば立てていると、小さく吹き出した彼は肩を揺らして頷いた。
「もちろん。君なら大歓迎だよ」