少女不完全 刻



「それとね?

薊花、兄さんには彼女が居るから
薊花の恋は一生報われないよ?」


あ、今度は絶望した顔かな?


コロコロと表情が変わって
今まで見たことない表情をする薊花


僕の目の前で泣くなんて

可愛い…
抱きしめたい…
独り占めしたい…


「ねぇ…薊花……」

無理矢理にでも僕のモノにすればいい

僕を好きになることができないのなら
僕の事を忘れられなくすればいい


僕の事でいっぱいにすればいい


他の誰の事も考えられないぐらいに…


「っ…やっ………」

怯える薊花の腕を掴み
袖を捲り色白で綺麗な腕に
カーディガンのポケットから取り出した
カッターナイフを押し当てた



「っ!!!なっ…何するのっ……」



「何って…
薊花の腕に、僕の名前を刻むんだよ?

自分のモノには、名前を書きましょう 
って習わなかった?

大切だからね…?

取られないようにしないとねっ…」





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