アンサンブル ~翔
ほんの数時間前まで、ただの同僚だったのに。
結ばれてみると 決められていた 二人のような気がする翔。
奈緒のすべては しっくりと 翔に馴染んで。
今まで、奈緒を求めなかった自分は 何を 見ていたのだろうと 翔は思っていた。
翌朝 翔の部屋で 朝食を食べながら
「私 前から 廣澤君は 他の人と違うって 思っていたけど。」
と奈緒が言う。
「どういう風に?」
翔が聞くと、
「痛みがわかる人だよね、翔。」
奈緒は 照れたように “ 翔 ” と呼んだ。
「ありがとう。初期研修の時 二人で話したじゃない。俺 あの時 なんで 奈緒に弱音吐いているんだろうって 後悔したけど。そういうことだったんだね。」
翔も 恥ずかしそうに “ 奈緒 ” と呼ぶ。