0.01秒のうち0.001%光る

周りが見えないまで...

―優乃はもうすでに家にいた。

ふと心の中で後悔が有り余っている。

頭が真っ白な中,優乃はスマホを取り出した。

メールが来ていた...

 「あっっ凛ちゃんからだ。」


小声で言いながら送られたスタンプを見る。

凛ちゃんとは青柳凛(あおやぎりん)のことで

クラスメイトだ。

つい最近メールアドレス交換をしたばかりで

送られたスタンプの前は「よろしくね♪」という

始まったばかりの挨拶が残されていて

凛とのメール交換は久しぶりだ。


スマホの画面には,

『おつかれさまぁ』


というひらがなのほんわかしたイメージのキャラクターが

和菓子と緑茶を両手に持っている可愛らしいスタンプだ。

優乃は,

『ありがとう』


という丸文字のハートスタンプを送ると

1分も経たないうちに既読が付いた。

凛ちゃん 『あのさぁ...』  既読


優乃 『どした?』  既読


ずいぶん短縮した文章で話し合う。

凛ちゃん 『今度うちに来ない?』  既読


優乃 『良いよ‼何か悩み事?
    私で良ければいつでも相談してね。』 


既読が付かないまま10分ほど過ぎた。

凛ちゃん 『遅くなってごめんね‼』  既読


と一緒に正座するスタンプが送られる。

優乃 『ううん。』  既読


凛ちゃん 『今度さ,うちの友達の「葵香音(あおいかのん)」
      って子が来るんだけど優乃ちゃん猫好きでしょ?』  既読


優乃 『うん!猫大好きだよ‼』  既読


凛ちゃん 『友達の香音ね,ハリネズミ飼ってるの。
      うちは犬飼ってるじゃん?だから動物好きで♪』  既読


凛ちゃん 『猫カフェ行こうって話してたんだけど
      猫好き入れよ~ってことで...優乃どう?』  既読


優乃 『是非♡でも香音ちゃんって子も大丈夫なの?
    私入って大丈夫?お邪魔になりそうで...』  既読


凛ちゃん 『全然!香音と友達になれるチャンスだし
      うちの家で集まって計画たてれば
      仲良くなれるって♪』  既読


優乃 『ありがとう☆☆≡じゃあご一緒させて頂きます★★≡』  既読


凛ちゃん 『ってことで...明日の午後3:00にうち集合♪』  既読


優乃 『うん‼空いてるよ~じゃあ明日♪香音ちゃんって子にも
    よろしくね♡』  既読


凛ちゃん 『ばいばぁい』 既読


お互いスタンプで会話を終わらせた。

明日は猫カフェ...

祝日に友達と出かけるなんて夢みたいで優乃は

明莉のことも由利亜のこともとっくに頭の隙間へと

去っていった―
< 6 / 10 >

この作品をシェア

pagetop