先輩とお付き合いはじめました。
「……萌音?」
リビングの扉を開けて、階段を上る私に先輩の声は小さく聞こえた。
「あった……」
ベットの下に落ちていた体温計とタオルを手に取る。
近くのごみ箱には貼ってあげた冷えピタが捨ててあった。
熱を下げるためには大事なものなのに、嫌いなのかな。
リビングに戻れば、音一つ立てずにいる先輩。
涙目でムッとする様子にビックリしてしまった。
自分がまるで子供をあやそうとする保育士にように顔色を窺えば、それに気づいたのかこれ以上空気が入らないというほどに口を膨らませてしまった。
ふー、っと息を吐いてパーカーのジップを鎖骨が見えるほどまで下げれば
顔まで赤くなってしまう。
ずっと見ていたいけれどそろそろ女の子をやめたくなる。