慈愛のケモノ
まるで。

欠伸を噛みしめる。その姿を見られたみたいで、前の席の先輩に笑われた。

「寝不足か?」
「すみません、乾さんの飲みに付き合ってまして……」
「ああ、金曜日荒れてたよな」
「知ってましたか」

流石、真希。

昼休憩にフロアから出ると、ちょうど扉の近くに真希がいた。

「お疲れ、休憩?」
「ひと段落したから」
「一緒に食べ行こうよ」
「いいね、何食べる?」

エレベーターの前で立ち止まる。同じように休憩に入る何人かが前にいた。
そういえば、と真希がこちらを見上げる。

「水本さんがグループに琉花も入れたいって言ってるの」

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