慈愛のケモノ

呆れた顔をしている真希を見て、口を開く。

「やっぱり、一人で行こうかな」
「え、琉花、もしかして気づいたの?」
「もう何に気遣うべきなのか……」
「うん?」

いや、一番は真希なのは変わらない。
遠月さんも悪い人ではないと思うけれど……。

ふと視線を逸らされたことを思い出して、自己嫌悪に浸る。

「ランチ行ったら話聞かせて、絶対!」
「あ、うん……」
「とりあえず今その返信して」

いつにも増して真希が前のめりなので、気圧される。
言われるがままメッセージを打つ。

午前中にはその返信があった。

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