慈愛のケモノ
二人でいるときのナンパ率は50パーセント程で、その理由は真希がいるから。
そして捨て置いても大丈夫そうな私が隣にいるから。
ナンパに対する発言権はいつも真希にあって、タイプじゃない男性のときは間髪入れずに「結構です」と断る。
たぶん、この声をかけてきた方は、真希のタイプだ。
積極的そうで高身長、オマケに顔が良いとなると。
「どうする?」
真希が私に尋ねてくる。私は聞かれたらいつも同じ返事をするつもりだけれど、これは真希が行きたい時にしか訊いてこない。
「私はどっちでも良いよ」
「じゃー一軒だけ!」
にっこり微笑む。