慈愛のケモノ
「で、どう? 俺のこと嫌い?」
「ど、どうって……わかんな」
「今逃げたら、追いかけて監禁する」
さらりと良い顔立ちが、そんなことを言う。
逃げるもなにも、逃げられない。
「逃げなかったら……?」
「俺の家で可愛がる」
「遠月さん……酔ってるんですか、もしかして。そうですよね?」
さっきから犯罪っぽいことを言ってるのは、酔ってるからか。
その期待をこめて尋ねる。
「酔ってたら、琉花ちゃんに選択権なんて与えてないよ」
それでも私の選択権は『イエス』か『はい』しかないのは気の所為だろうか。